全固体電池
概要
表面処理・混合・分散・塗布・成形・封止などのマクセル独自技術により、全固体電池の高容量化と高出力化∗1を両立しました。
全固体電池特有の長寿命∗2と耐熱性も組み合わせ、従来のリチウムイオン電池では対応困難であった用途にも適合します。
マクセルでは、外装の種類別に
- コイン形
- セラミックパッケージ型
の2つのタイプをラインアップしており、用途に応じたご提案が可能です。
トピックス
2023年07月20日 リリース 全固体電池使用のエナジーハーベスト対応評価用キットをロームグループと共同開発
2023年01月23日 リリース ローム「Nano Energy™」搭載電源ICとマクセル全固体電池を使用した評価用電源モジュールキットを共同開発
2022年11月04日 更新情報 「全固体電池 技術資料」更新
2022年09月29日 リリース 高容量セラミックパッケージ型全固体電池の品種をラインアップに追加
2022年07月25日 リリース 高容量セラミックパッケージ型全固体電池を製品化
2021年09月16日 リリース 世界初 高電圧、高出力に特化した硫化物系コイン形全固体電池のサンプル出荷開始(マクセル調べ)
ニュースリリース、お知らせ、技術情報、リーフレットを含む本ページに記載された内容は、予告なしに変更される場合があります。
全固体電池とは
全固体電池とは、リチウムイオン電池に使用されている電解液を固体にすることで、安全性はもちろん寿命や耐熱性などの向上が期待できる電池です。

一般的なリチウムイオン電池

全固体電池
マクセルの小型全固体電池は、硫化物系固体電解質の中でも特に安定性とイオン伝導性、および成形性にすぐれたアルジロダイト型固体電解質を採用することで高耐熱と長寿命を実現しました。それにより、充放電の繰り返しや長期保管に伴う抵抗上昇を抑制し、従来の電解液系電池に比べて高負荷時の放電容量を向上することに成功しました。
ラインアップ




マクセルのアナログコア技術である「混合分散(まぜる)」、「高精度成形(かためる)」技術に加え、長年にわたり培ってきたリチウムイオン電池とマイクロ電池の開発および製造に関するノウハウを融合して、高性能かつ高信頼性を有するコイン形全固体電池が実現しました。また、外装にセラミックパッケージを採用することで、コイン形全固体電池の容量や出力特性を維持したまま、さらなる耐熱性と高密閉性∗3を実現しています。
さらに、高電圧・高入出力∗4という新たな特長を持つバイポーラ型全固体電池についても開発に成功、多様化する市場ニーズに対応していきます。
特長
幅広い温度範囲に対応
コイン形は摂氏-50度(℃)から+125度(℃)で放電可能
バイポーラ型は摂氏-60度(℃)から+125度(℃)で放電可能
セラミックパッケージ使用時はリフロー実装にも対応
高い安全性
液漏れがなく、過酷環境下∗5でも使用が可能
長寿命
20年にわたる長期間の使用が可能∗6
高容量・高出力
イオン伝導度の高い硫化物系固体電解質の採用により、高レートでの放電が可能
バイポーラ型は5ボルト(V)での出力が可能

耐熱性と高密閉性にすぐれた「セラミックパッケージ型全固体電池」
外装にセラミックパッケージを採用することで、コイン形全固体電池の容量や出力特性を維持したまま、さらなる耐熱性と高密閉性を実現

左:セラミックパッケージ型硫化物系全固体電池
右:基板実装後のイメージ
- リフローはんだ∗7による基板への表面実装が可能
- 高密閉性を実現
用途例
高耐熱や長寿命の特性を活かし、従来のリチウムイオン電池では対応困難であった用途にも適用可能です。
民生機器
- ウェアラブル
- 補聴器
- 医療、健康機器
産業機器
- FA関連
- 自動車用デバイス
- 特殊環境計測
- インフラ

- 全固体電池でありながら当社コイン形リチウムイオン電池CLB927の定格容量8mAh、最大放電電流20mAと同等の特性
- 摂氏60度(℃)保管による加速試験において、90%の容量を維持可能な日数が当社液系コイン形リチウムイオン電池(927サイズ)の10日に対して全固体電池は100日
- ヘリウムリーク試験において10-11(Pa・m³/sec)レベルを達成、一般的なコイン電池では10-8(Pa・m³/sec)レベル JIS Z 2330参照
- 2020年9月に発表したコイン形全固体電池と比較して5倍
- 摂氏200度(℃)加熱や釘刺し、外部短絡など、各種安全性試験において発火発煙無し
- 加速係数から求めた室温での予測寿命
- リフロー時摂氏250度(℃)レベルの耐熱性を確認していますが、条件については弊社にお問い合わせください。

型式 | セラミックパッケージ型 | PSB401010H | PSB401515H |
---|---|---|---|
セル外径 | 縦(mm) | 10.5 | 14.5 |
横(mm) | 10.5 | 14.5 | |
高さ(mm) | 4.0 | 4.0 | |
質量(g) | 1.4 | 2.7 | |
充電(CCCV) | 定電圧値(V) | 2.6 | 2.6 |
標準電流(mA) | 4.0 | 8.0 | |
温度範囲(℃) | -20∼+105 | -20∼+105 | |
放電(CC) | 終止電圧(V) | 0 | 0 |
最大電流∗1(mA) | 30.0 | 60.0 | |
温度範囲(℃) | -50∼+125 | -50∼+125 | |
10年間連続使用可能な上限温度∗2(℃) | 105 | 105 | |
公称電圧(V) | 2.3 | 2.3 | |
標準容量(mAh) | 8.0 | 16.0 | |
特長 | 表面実装可能 |
- 摂氏25度(℃)環境下において満充電状態で1秒間放電後に1.8V以上を維持できる最大電流値
- 各種試験や分析および解析による当社の寿命予測によって導いた、10年間連続で保管した際に回復率が10%になる上限温度
- データおよび寸法は保証値ではありません。
- 仕様、外観などは変更される場合があります。あらかじめご了承ください。

型式 | コイン形 | PSB920L | PSB927L |
---|---|---|---|
外径 | 直径(mm) | 9.5 | 9.5 |
高さ(mm) | 1.95 | 2.65 | |
充電(CCCV) | 定電圧値(V) | 2.6 | 2.6 |
標準電流(mA) | 4.0 | 4.0 | |
温度(℃) | -20∼+105 | -20∼+105 | |
放電(CC) | 終止電圧(V) | 0 | 0 |
最大電流∗1(mA) | 45.0 | 45.0 | |
温度(℃) | -50∼+125 | -50∼+125 | |
公称電圧(V) | 2.3 | 2.3 | |
標準容量(mAh) | 6.0 | 8.0 | |
特長 | 長寿命、高出力 |
- 1秒間放電後に1.8ボルト(V)以上を維持できる最大電流値
- データおよび寸法は保証値ではありません。
- 仕様、外観などは変更される場合があります。あからじめご了承ください。

型式 | バイポーラ型 | PSB920P |
---|---|---|
外径 | 直径(mm) | 9.5 |
高さ(mm) | 1.95 | |
最大電圧(V) | 5.2 | |
公称電圧(V) | 4.6 | |
標準容量(mAh) | 2.5 | |
特長 | 高電圧、高出力、急速充電対応 |
- データおよび寸法は保証値ではありません。
- 仕様、外観などは変更される場合があります。あからじめご了承ください。
全固体電池について
Q1.マクセル全固体電池の差別化ポイントは何ですか?
A1. マクセルのアナログコア技術である混合分散、精密塗布技術を活用して、開発、設計、製造を行っている点です。
Q2.一番の特長は何ですか?
A2. 電解質にアルジロダイト型の硫化物系固体電解質を使用しているため、長寿命、高耐熱性のほか高容量化、高出力化も両立していることが特長です。
Q3.マクセルのどんな技術が活かされていますか?
A3. コイン形全固体電池は、マクセルが培ってきた独自の材料技術と配合、成形、封止といったプロセス技術の融合により実現しました。材料技術は主にリチウムイオン電池事業、プロセス技術は、主にマイクロ電池事業で培ったものです。また、リチウム系電池で培ったモノ作り力も活用されています。
Q4.酸化物系全固体電池と比較して、マクセルの硫化物系全固体電池はどのような点において優位ですか?
A4. マクセルの全固体電池に採用している三井金属製アルジロダイト型固体電解質は、イオン伝導度が高いだけでなく、非常に柔らかいため常温での圧密化による電極製造が可能です。したがって、マクセルがもつ乾式混合、成形、封止などのプロセス技術により三井金属製固体電解質がもつ特長を最大限に引き出すことが可能です。また、酸化物系固体電解質では必須となる焼結工程が不要であることから、材料の選択肢が増え電池の飛躍的な向上が可能となります。
Q5.想定する主な用途は何ですか?
A5.通信対応など高出力とともに高い安全性、信頼性も求められるウェアラブル機器、過酷な環境や長期間に渡って使用されるIoT機器、車載機器、FA機器などを想定しています。また、セラミックパッケージ型ではリフローはんだによる基板への表面実装が可能です。
Q6.量産開始はいつを予定していますか?
A6. 2023年度中を予定しています。
バイポーラ技術について
Q1.積層による高電圧化に制限はありますか?
A1. 理論上は無制限です。お客様のご要望に沿った仕様をご提案いたします。
Q2.車載用途にも適用可能ですか?
A2. バイポーラ技術はHEVなど高出力・高エネルギーが求められる用途への適合性が高いと考えます。
Q3.作動温度範囲が拡大したのはなぜですか?
A3. バイポーラ技術により電池の抵抗上昇を抑えながら高電圧化することが可能になったため、特に低温特性向上に成功しました。