高圧蒸気滅菌器の履歴管理における課題解決
高温環境で使用可能な二次電池式滅菌用ロガー

背景

高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)は、主に医療機関や研究施設、製薬工場、食品製造などにおいて使用される滅菌処理のための装置で、医療器具などを高温高圧の蒸気に晒すことにより、それらに付着した微生物を滅菌∗1します。例えば、医療分野では感染症対策として、2気圧、摂氏120度(℃)程度の飽和蒸気圧環境下でのピンセットや剪刀などの滅菌処理に使用されます。高圧蒸気滅菌器では、装置内の温度や圧力を調整し、決められた時間で処理が完了するように制御されますが、装置内に所定の数量以上の器具が投入されてしまった場合などには装置内部の環境が不均一になり、十分な滅菌効果が得られない可能性があります。

このような事態を防止するためには、滅菌用ロガーによる滅菌条件の記録、履歴取得がバリデーションに対して有効となります。その場合、滅菌用ロガーには高温環境下で安定的に電力を供給する電池が必要となります。

∗1 微生物を滅菌:微生物の生存する確率が100万分の1以下になること

滅菌

課題

(1) 高温環境での電力供給

(2) 電池交換頻度の低減

密閉構造の高圧蒸気滅菌器の器内へは外部から電力供給ができないため、器内で使用される滅菌用ロガーは電池式である必要があります。しかしながら、滅菌中の器内は電池にとっては過酷な高温環境となってしまいます。

また、現在の滅菌用ロガーの電源には使い切りの一次電池が使用されており、定期的な電池交換が必要となります。

滅菌用温度ロガーの例

滅菌用温度ロガーの例

解決策

小型で耐熱性に優れた∗2マクセルの全固体電池を滅菌用ロガーに組み込むことで、蒸気滅菌器のような、外部からの電源供給ができない高温環境でも使用できる滅菌用ロガーが見込めます。また、全固体電池は繰り返し使える二次電池であることから、電池交換の頻度を減らし、作業者の負担を軽減することができます。

∗2 耐熱性に優れた:量産仕様において摂氏+125度(℃)まで放電可能であることから、一般的なリチウムイオン電池と比較して高耐熱

その他の用途

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