全固体電池 | 用途・協業事例
設備モニタリングにおける課題解決 | ||
エナジーハーベストと組み合わせた独立電源型センサーシステム |
背景
製造業、プラントなどにおいて、設備モニタリング(状態監視)は、不具合や故障を事前に予測することにより、不測の設備停止発生の回避、作業者による点検頻度の削減、メンテナンス費用の抑制を実現する技術の一つとして注目されています。設備モニタリングでは温度、振動、圧力などを計測するさまざまなセンサーが使用されますが、系統電源への接続が困難な場所に設置される場合、一般的に一次電池を用いた独立電源型システムとして構成されます。しかしながら、モータなどの発熱源が近くにある過酷な環境にシステムが設置される場合には、高温耐性が課題となります。また、そのような環境下では、定期的に発生する電池交換作業を行うことは困難であるため、長期間にわたり電池を交換することなく稼働し続けるシステムが求められています。
課題
(1) 系統電源が使えない
(2) メンテナンスが困難な過酷な設置環境
(3) 電池交換の頻度が高い
例えば、一般的に設備モニタリング用独立電源型センサーシステムに使用される一次電池は、作動温度範囲が摂氏-40∼+85度(℃)(当社円筒形二酸化マンガンリチウム電池の場合)であるため、使用できる温度環境が限られています。
また、電源に一次電池を使用したシステムでは、定期的に電池交換を行う必要があり、高温の過酷環境下での電池交換作業が作業者にとって大きな負担であることも課題となっています。
解決策
マクセルの全固体電池は20年にわたる長い電池寿命∗1をもつため、設備モニタリングの独立電源型システムの電源として使用した際の電池交換の頻度を減らすことができます。また、全固体電池は放電可能な温度範囲が摂氏-50∼+125度(℃)と幅広く、過酷な温度環境下での設置にも対応可能です。これらの特長を活かし、太陽光、室内光、振動、熱などから採取した電力を全固体電池に蓄え、その電力でセンサーを駆動する独立電源型システムを実現することができます。
たとえば、ボイラーやポンプ、コンプレッサーなどの産業設備に独立電源型システムとセンサーを取り付けることにより、設備の振動をモニタリングすることができます。もし機器に何らかの異常があり通常と異なる振動が発生した場合、その振動を故障の予兆として事前に検知することにより、設備が故障してしまう前にメンテナンスを実施し、不測の設備停止を回避することができます。
- 20年にわたる長い電池寿命:加速係数から求めた室温での予測寿命
エナジーハーベストと全固体電池を組み合わせた、独立電源型センサーシステムによるボイラー設備のモニタリング例