全固体電池 | 用途・協業事例
ファクトリーオートメーションにおける課題解決 | ||
産業用ロボット/サーボモータにおけるエンコーダのメンテナンス工数削減、生産性向上に寄与 |
背景
近年、産業用ロボットは自動化と効率化の需要が高まっており、AIの導入、協業ロボットの普及、センサ技術の向上による安全性の向上、省エネルギー、IoTとの統合によるエッジコンピューティング、環境への配慮など急速に進化しています。
産業用ロボットの関節など、回転角を検出するセンサ(エンコーダ)のバックアップ電源には電池が使用されていますが、既存の電池では高温下での使用に制限があり、電池交換に伴うメンテナンスが頻回であることから、電池の長寿命化が求められています。
課題
(1) 産業用ロボットの部品に求められる小型化と耐熱性
生産性を向上させるためには、産業用ロボットの動作スピードを速める必要があり、ロボットを構成する部品の小型化、軽量化が必須です。動作の高速化によりサーボモータなどの回転機構の温度が上昇するため、それらの部品には耐熱性が求められます。また、熱プレス加工など高温環境の製造工程においては、さらなる耐熱性が要求されます。
(2) 産業用ロボットのメンテナンス工数削減
多軸ロボットに使われているサーボモータには、位置を制御するエンコーダが備わっています。エンコーダは、ロボットが停止した際に位置や角度などのデータを記録し、ロボットの再起動時にはそのデータを基に動作を再開します。エンコーダでは、位置や角度のデータバックアップには一般的に一次電池(使い切りの電池)を使用しますが、電池容量が不足すると動作不能となるため、定期的な電池交換が必要です。
労働力不足が懸念されるなか、ロボットの活用シーンの増加に伴いメンテナンスフリーの要望が高まっており、長寿命の電池の開発が求められています。
ロボットの旋回部に設置されるサーボモータと、その中に搭載されるエンコーダのイメージ図
解決策
これらの課題解決に向けて、これまで一般的にエンコーダに搭載されている一次電池よりも優れた耐熱性を有する全固体電池を採用することで、高温での過酷な条件下∗1での使用や長寿命特性∗2を実現し、幅広い分野でメンテナンスフリー∗2社会の実現に貢献することができます。また、従来の産業用ロボットでは、バックアップ用電池を外部に設置していましたが、全固体電池とエンコーダとサーボモータを一体化しハーネスを不要とすることで、ロボットの小型化に貢献します。
- 高温での過酷な条件下:∼摂氏+125度(℃)
- 長寿命特性、メンテナンスフリー:加速係数から求めた予測寿命は20年レベルであり、一般的な電子部品寿命(例として絶縁部品)の5年と比較して長寿命