全固体電池 | 用途・協業事例
産業用途向けリアルタイムクロック(RTC)モジュールの課題解決 | ||
幅広い温度範囲で作動する全固体電池が、厳しい条件下のRTCのバックアップに寄与 |
背景
RTC(Real Time Clock)は、デバイスに組み込まれる、時計機能を有するIC部品です。システム電源が切断された場合でも、バックアップ電源により時刻情報を継続して保持することが可能です。現在、バックアップ電源には主にコイン形一次電池や電気二重層コンデンサが使用されていますが、近年、表面実装型RTCの増加や使用用途の多様化により、厳しい温度条件下でも使用可能な信頼性の高い電池が必要とされています。
産業機器におけるRTCの用途としては、IT機器、ネットワーク機器、各種インフラメータ、FA機器、PLC(シーケンサ)、セキュリティ機器、入退室管理、POSシステム、ウェアラブルデバイス、メディカル機器などが挙げられます。
ホルダを用いたコイン形電池の基板実装イメージ
課題
(1) 省スペース化、製造工程の削減
(2) 使用環境温度の広範囲化
IoT機器の小型化のニーズが高まると同時に、さらなる省スペース化や、表面実装技術の導入による製造工程の削減、実装コストの低減が求められています。
現在、RTCは産業分野の幅広い用途で使用されています。これに伴い、使用可能な環境温度も広範囲(摂氏-40∼+125度(℃))になっていますが、この厳しい温度環境下においても、高精度な時刻情報の取得が必要とされています。
解決策
省スペース化、製造工程の削減
マクセルの全固体電池「PSB401010H」は、筐体にセラミックパッケージを採用したことにより表面実装∗1が可能なため、他のSMD(Surface Mount Device)とともにリフロー炉に投入でき、電池接続のための別工程が不要です。また、基板上に電池ホルダを必要としないため、省スペース化と製造工程の削減につながります。
使用環境温度の広範囲化
優れた安全性∗2と温度特性を持つ「PSB401010H」は、放電可能な温度範囲が摂氏-50∼+125度(℃)と幅広く、RTCの使用可能な環境温度(摂氏-40∼+125度(℃))をカバーしているため、厳しい温度環境下にあるRTCのバックアップ電源としても適用できます。
くわえて、「PSB401010H」がもつ長寿命特性∗3により、一次電池のように数年ごとに交換する必要がなく、メンテナンス工数の削減につながります。
- 表面実装:最大温度摂氏+245度(℃)でのリフローによって容量や負荷特性などの基本特性に劣化は見られない。
- 優れた安全性:過加熱試験、釘刺し試験、外部短絡試験など、各種安全性試験で発火発煙なし。発熱温度摂氏+1度(℃)以下と高い安全性を示す。
- 長寿命特性:加速係数から求めた予測寿命は20年レベルであり、一般的な電子部品寿命(例として絶縁部品)の5年と比較して長寿命。