次の記事 »

デジタルヘルスの革新時代
ウェアラブル機器や医療機器の小型化を実現する電池ソリューション

マクセルのマイクロ電池

マクセルは1976年に日本で初めて酸化銀ボタン電池を商品化しました。当時、日本の時計がクオーツ技術により世界を席巻していったことや、小型電卓のような小型電子機器の進化と相まって、このようなマイクロ電池のニーズは今日まで伸び続けています。

2012年、マクセルはコイン形リチウム二次電池「CLB」を商品化しました。この「CLB」は、その優れた負荷特性や充放電サイクル性能により、ウェアラブル機器、小型センサー、充電式補聴器のような小型医療機器のニーズを満たす新しい小型二次電池として設計されました。

デジタルヘルスにおけるキーコンポーネント

コイン電池、ボタン電池をはじめとするマイクロ電池は、その小ささ、優れた量産性から、さまざまな用途に使われてきました。特に近年、小型医療機器の主電源としても使われています。ただし、それらの多くは使い切りのいわゆる一次電池のため、機器設計においては、機器サイズと電池をはじめとする電子部品体積とのバランスをとることに苦労してきました。多機能・高機能化により消費電力は増える一方、機器の小型化が患者の負担軽減に必須とされるためです。

マクセルはそのような課題を解決するため、信頼性と小型化の両立をめざしたコイン形リチウム二次電池「CLB」を製品化しました。近年の小型医療機器におけるイノベーションの例として、充電式補聴器があげられます。マクセルの「CLB」は、充電式補聴器用の電源としても開発を進めてきました。古くから使われてきた空気亜鉛一次電池は、空気中の酸素を正極活物質とすることによって高いエネルギー密度とする一方、外部環境により電池反応が不安定となることや、一次電池であるがゆえに、数日から一週間で手作業での電池の交換が必要であり、患者への負担が大きいという課題がありました。指先に乗るほどの小ささと、約1000サイクルの充放電サイクルが可能な「CLB」により、医療デバイス開発へ新たなパワーソリューションを提案することが可能となりました。

このユニークな小形二次電池は、今後のウェアラブル機器をはじめとする幅広い小型電子機器への適用が可能であると期待されており、充電式補聴器以外にも、糖尿病治療に使用される持続血糖モニタリング(Continuous Glucose Monitoring; CGM)機器や、パッチ式インスリンポンプのようなドラッグデリバリーシステムは、今後の検討が期待される用途です。

コイン形リチウム二次電池「CLB」を医療・ヘルスケア分野のウェアラブル機器、多機能ウォッチ、物流管理システムなど幅広い小型電子機器のパワーソリューションに

コイン形リチウム二次電池「CLB」を医療・ヘルスケア分野のウェアラブル機器、多機能ウォッチ、物流管理システムなど幅広い小型電子機器のパワーソリューションに

マクセルのコイン形リチウム二次電池「CLB」の特長

5G/6G技術、LPWA等の通信技術の進化により、さまざまなものがIoT化され、小形電池の需要はますます高まっていきます。そのような小型電子機器に求められる電池の性能には、下記のようなものがあげられます。

充放電サイクル性能

二次電池において充放電サイクル性能は最も重要な性能のひとつです。例えば、「CLB740H」は、その構造と材料の最適化により、約1000サイクルの安定した充放電サイクル性能が可能です。約1000サイクルとは、毎日1回の充放電を繰り返したとして約3年分にあたります。

保存特性

金属筐体と樹脂製ガスケットの組み合わせによるかしめ構造は、古くからコイン・ボタン電池に採用されてきた方式です。「CLB」では、そのステンレス筐体とガスケット材料および構造の最適化により、使用期間における内部電解液のドライアップや外部環境からの水分侵入を抑制、低減しています。

小型化

補聴器、CGM、パッチ式インスリンポンプのようなウェアラブル機器では、患者の負担軽減のために小型化、薄型化が求められます。「CLB」は機器のニーズに応じて、さらなる小型化を図ってきました。

安全性

安全性に配慮した製品設計、工程管理を行っているほか、安全性認証の取得も行っています。

∗ 製品の認証取得状況については、当社Webページをご覧ください。

コイン形リチウム二次電池「CLB」の製品Webページ

https://biz.maxell.com/ja/rechargeable_batteries/coin-type_lithium.html

小型医療機器では、患者の負担軽減のため小型、薄型の電池が求められている

小型医療機器では、患者の負担軽減のため小型、薄型の電池が求められている

直径約 6 mmの小型コイン形リチウム二次電池「CLB640」の開発

市場のさらなる小型化のニーズを見据え、電池外径φ6.8mm、電池高さ4.0mmの「CLB640」を開発しました。例えば、耳穴型の補聴器には、これまでもより小さい電池が望まれており、このような小型の二次電池により、機器のデザインに自由度をもたらし、より幅広く充電式補聴器の採用が見込まれます。

補聴器だけでなく他の医療機器においても、体に装着する際のユーザーの負担を少なくするため、今後も機器の小型化が進むと見込まれます。

このような小型化においても、電池の部品、材料、プロセスの最適化により、その充放電性能を維持することが可能となりました。

小型コイン形リチウム二次電池「CLB640」のサイクル特性

小型コイン形リチウム二次電池「CLB640」のサイクル特性

試験電池:CLB640

充電:6.5mA(0.5ItA)/ 4.2c(CCCV)/ 終止0.26mA

放電:2.6mA(0.2ItA)/(E.V.=3.0V)

容量チェック放電:1mA /(E.V.=3.0V) 100サイクル毎

環境温度:20℃

本データは、実験データであり、保証値ではありません。電池品種、実際の使用条件によって充放電性能が異なります。製品のご検討にあたっては弊社までお問い合わせください。

コイン形リチウム二次電池「CLB」製品ラインアップ

品名CLB740HCLB927CLB937ACLB2016CLB2032
公称電圧(V) 3.8 3.7 3.7 3.7 3.7
標準容量(mAh) 19∗1 10∗2 18∗3 30∗3 70∗3
最大放電電流(mA) 19 20 36 60 140
寸法(初度)∗3 直径(mm) 7.85 9.5 9.5 20 20
高さ(mm)∗4 4.0 2.8 3.9 2.0 3.45
質量(g)∗3 0.5 0.5 0.7 2.1 3.0
  • 充電:0.5ItA / 4.2V(CCCV) / 終止0.02ItA、放電:1mA / E.V. = 3.0V、環境温度摂氏+20(℃)で測定したときの容量です。
  • 充電:0.5ItA / 4.2V (CCCV) / 終止0.02ItA 、放電:0.2ItA / E.V. = 3.0V、環境温度摂氏+20(℃)で測定したときの容量です。
  • 充電:0.5ItA / 4.2V (CCCV) / 終止0.03ItA 、放電:0.2ItA / E.V. = 3.0V、環境温度摂氏+20(℃)で測定したときの容量です。
  • 寸法、質量は電池自身のもので、仕様により異なります。
  • 100%充電時の値

これらのデータおよび寸法は保証値ではありません。詳細については当社までお問い合わせください。

デジタルヘルスの未来とマクセルの電池開発

今後はIoT技術を基盤として、人工知能、ビッグデータ解析、仮想現実など最新のデジタル技術の活用により、デジタルヘルスによるイノベーションの重要性はますます高まります。そのキーコンポーネンツのひとつと考えられる電池、とくに「CLB」をはじめとするマイクロ電池への今後のニーズは下記のようなものが考えられます。

小型化

患者への負担軽減のため、より小さく、より薄く

信頼性

継続的な状態監視のための長期信頼性電源

重負荷放電性能

Bluetooth、Wi-Fi、LPWA通信や、投薬用マイクロポンプ・アクチュエーターの動作に充分な放電性能

∗ Bluetoothは、米国Bluetooth SIG, Inc.の商標です。

このような未来のニーズに向けて、マクセルは今後も広がり続ける、IoT、デジタルヘルスに向けた技術開発により社会に貢献していきます。

関連製品

コイン形リチウム二次電池「CLB」に関するお問合せフォーム

電池製品の選定、サンプルのご相談など、ご相談をお待ちしております。

まずはお気軽にお問合せください。

次の記事 »

ページ上部へ戻る