UV硬化型インク(インクジェット3Dプリンタ用)
概要
マクセルは高密度記録用の磁気テープで長年培ってきた『混練、微粒子分散、材料・界面設計のコア技術』『高い信頼性を有する品質保証体制』を基に、「印刷用」「3D造形用」として産業用インクジェットプリンタ向けのUV硬化型インクを開発・製品化をしています。
UV硬化型インクはUV光(紫外線)を短時間照射するだけで硬化し、色々な基材に印刷することができます。また、「印刷用」だけでなく「3D造形用」として立体物を造ることもできます。
UV硬化型インクはUVランプだけではなく、省電力であるUV-LED光源にも対応しており、環境にも配慮しています。
インクジェット3Dプリンタとは
立体造形物を造る方式として従来の「切削工法」に対して「3Dプリント(積層法)」という新たな方式である「アディティブマニュファクチャリング(Additive Manufacturing)」があります。
「3Dプリント」には色々な方式があり、その中で「印刷用プリンタ」に採用されるインクジェット方式があります。
インクジェット方式は「マテリアルジェッティング(Material Jetting)」「マルチジェットモデリング(MJM Malti Jet Modeling)」などとも表現され、光硬化性樹脂(UV硬化型インク)を採用し、それを積層して立体造形することで、滑らかな表面や精密・微細な精密造形が可能となります。
インクジェット3Dプリンタの特長として複数種類の3Dインクを同時に造形できることがあり、これによりマルチカラーの立体造形なども実現することができます。
マクセルのインクジェットプリンタ用インク
3D造形用途
• UV-LED硬化型インク
UV硬化型インク(3Dプリンタ用)のラインアップ
3Dプリンタ用モデル材(白、クリア) / 水溶性サポート材
特長
- マテリアルジェッティング方式(MJ方式)に対応し、UV-LED光源での硬化造形が可能な設計仕様
- モデル材(白、クリア)と水溶性サポート材の界面設計により、高精度造形とサポート材の白残り低減を実現
- サポート材としての自立性(強度)と速い水除去性を両立
- 水溶性サポート材はUV硬化造形後に水で除去可能な設計仕様
» サポート材除去の工数低減
» 除去中の破損リスク低減
» アルカリなどの薬液、エタノールなどの溶剤不使用にて安全性に配慮し、取り扱いが容易
» 特殊な設備不要(超音波洗浄などで除去時間短縮可能))
インクジェットによる3D造形
仕様
項目 | モデル材 (白、クリア) | |
---|---|---|
対応ヘッド | 高粘度ヘッド | |
硬化光源(UV-LED) | 365-385nm | |
インク物性:粘度 | 35mPa·s(25℃)∗ 10-12mPa·s(55-60℃) |
|
硬化物物性 | 引張強さ | 40MPa |
ガラス転移温度(Tg) | 64℃ |
∗ 粘度の調整(ヘッドマッチング)は可能です。
水溶性サポート材硬化物を水に浸した様子(常温、静置)
仕様
項目 | 水溶性サポート材 | |
---|---|---|
対応ヘッド | 高粘度ヘッド | |
硬化光源(UV-LED) | 365-385nm | |
インク物性:粘度 | 35mPa·s(25℃)∗ 10-12mPa·s(55-60℃) |
|
硬化物物性 | ショア硬さ(A) | 80-90 |
溶解性 | 左図参考 |
∗ 粘度の調整(ヘッドマッチング)は可能です。
インクジェット3Dプリンタの用途例
- デザイン試作
- 精密試作
- 治具
- 簡易型 など
3Dプリンタ用高耐熱モデル材
特長
- マテリアルジェッティング方式(MJ方式)に対応し、UV-LED光源での硬化造形が可能な設計仕様
- UV硬化造形物は高耐熱性(ガラス転移温度・荷重たわみ温度)と寸法安定性を有しており高強度も実現
仕様
項目 | 高耐熱モデル材 (開発品) |
---|---|
対応ヘッド | 高熱加温用ヘッドに適用 |
硬化光源波長(nm) | 365-385 |
粘度(mPa·s) | 80(25℃)∗、10-12(60-70℃) |
表面張力(mN/m) | 30-35(25℃)∗ |
密度(g/cm³) | 1.14 |
ガラス転移温度(Tg) | 160-170℃ |
線膨張係数(CTE) | 70-100ppm/K |
荷重たわみ温度(0.45MPa) | 150-160℃ |
- 粘度、表面張力の調整(各種インクジェットヘッドへのマッチング)は可能です。
- データは開発品による参考値で保証値ではございません。
項目(機械特性) | 高耐熱モデル材 (開発品) |
---|---|
引張強さ(MPa) | 50-55 |
引張弾性率(MPa) | 2,500-3,000 |
破断伸び率(%) | 2.5 |
曲げ強さ(MPa) | 150-160 |
曲げ弾性率(MPa) | 3,900-4,000 |
アイゾット衝撃強さ(kJ/m²) | 3-5 |
ショア硬さ(D) | 90 |
- データは開発品による参考値で保証値ではございません。