【新技術】独自の高演色・高速画像処理アルゴリズム

概要

高視認化処理と色彩強調色復元技術を組み合わせた独自の高演色・高速画像処理アルゴリズムをハードウェアに実装することで、演算に伴う遅延をソフトウェア処理の10sから0.016sへと大幅に低減しています。これにより毎秒60フレーム(fps)のリアルタイムに近い処理を実現しており、原理的には120fps以上の高速カメラ映像へも対応が可能です。

さらに、通常に比べ暗部のコントラスト比を約2倍に向上させた高演色アルゴリズムにより夜間、霧、雨など、悪天候時の車載カメラ映像をリアルタイムに近い処理で見やすく補正し、歩行者や道路標識など、運転に必要な情報をより見やすくすることができます。

原理

車載カメラなどの映像を補正するため、人間の視覚特性をモデル化したRetinex理論*1を画像処理に応用することで、通常に比べ局所的なコントラスト比を約2倍に高めた視認化処理と、色彩を強調する色復元技術、この2つを組み合わせた独自の高演色・高速画像処理アルゴリズムを開発しました。
   *1 Retinex理論:人間の視覚特性をモデル化した理論

映像の明るさを調整する技術として、コントラスト補正や明るさ補正などがありますが、映像全体を一律に補正するため、元々明るかった部分が潰れて見えにくくなったり、色が薄くなったりすることがあります。このたび開発した高演色画像処理技術では、画像の領域ごとの特長に応じた補正を施すとともに、色成分を復元することで、画像処理前に比べ視認性を高めることができます。

マクセルでは、演算量を従来に比べ1/10と大幅に低減する独自の高演色補正アルゴリズムを開発し、少ない演算量かつ補正不要領域への副作用が少ない画像処理を実現しています。

仕様

項目仕様
局所コントラスト改善比率 約2倍
製品実装形態 FPGA*2またはASIC*3
処理時間 0.016s以下

   *2 FPGA: Field Programmable Gate Array、工場出荷後に設計変更が可能な集積回路
   *3 ASIC: Application Specific Integrated Circuit、特定用途向けの集積回路

用途

AR*4ヘッドアップディスプレイ(以下、HUD)の虚像表示範囲内に高演色画像処理技術を適用した、車載カメラ映像(後方シーンなどの周囲映像)を挿入表示することで、より見やすい視覚情報提供によるドライバーの運転を支援するシステムを提案します。
   *4 AR: Augmented Reality、拡張現実

本技術は映像内容に応じた補正により視認性の向上が期待できるため、車載向け(バックモニタ、ドライブレコーダ等)以外にも、HUD、監視カメラ、テレビ会議システム、デジタルサイネージなど、幅広い分野への適用が見込まれます。

システム構成

実施例(補正効果イメージ)

車載カメラへの応用

夜間、霧、雨天時の画像補正のほか歩行者や道路標識などの情報をより見やすくすることで、ドライバーへの運転支援への貢献が期待されます。

監視カメラへの応用

照度不足での画像補正や悪天候下での画像を鮮明に近い画像に補正することにより、セキュリティ向上への貢献が期待されます。

医療用内視鏡への応用

電気メスによるスモークの影響をリアルタイムに近い処理で軽減することで、より鮮明に近い補正画像を得ることで、術野の視界向上への貢献が期待されます。

FAQ

#ご質問回答
1 開発のきっかけは? ドライバーへの運転支援のニーズの高まりを背景に、研究を重ねていた映像エンハンス技術を車載用途に応用したもの。
2 夜間や悪天候の場合に視認性向上が図れるとのことですが、逆に明るすぎる環境下(例えば、直射日光で眩しいなど)ではどうですか? 直射日光や逆光の場合でも、視認性の向上が期待できます。例えば、日陰の部分を見やすくする、など。
3 高演色画像処理技術とはどういうものですか? 画像を補正することで、夜間や悪天候下での視認性を向上させる技術です。Retinex理論を適用した視認性向上技術と画像を色鮮やかにする色復元技術を組みわせています。
Retinex(レティネックス)理論:E. H. LandとJ. J. McCannにより、人間の脳が色や光をどのようにとらえるのかをモデル化したもので、Retina(網膜)とCortex(大脳皮質)を合わせた造語です。
4 技術の特長はどんなところですか? 一般的に、領域ごとの画質補正を行う場合は細かい処理が必要になるため演算量が増え、処理時間やハードウェア規模が増大します。この技術では、視覚特性に沿って処理特性を近似することで、視認性向上とともに演算量を従来に比べ1/10の低減両立をさせました。さらに、色復元技術による色も含めた視認性向上も特長です。
5 どういう場面で使われる技術ですか? HUD(ヘッドアップディスプレイ)、バックモニタなど車載カメラ、ドライブレコーダ、監視カメラ、テレビ会議システム、デジタルサイネージなど、見づらい環境下で映像の視認性を向上させたい場合に有益です。

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