長期の保存について

低いエラーレート・耐久性・保存性の3大特性のうち保存性の確認は、実際に長期間保存してみないと確認できず、しかも保存環境に大きく左右されるため、その特性確認には磁性粉・バインダーなどの材料から製造時のプロセス技術、カセットに至るまで、入念かつ微妙な検討とテクノロジーが必要となります。ここでは、マクセルの保存性技術を確かめるため、製品群の中から放送局でライブラリー用として多く使用されているD-2テープを代表として抽出。加速試験(60℃80%RH保存)による磁気特性、電気特性の劣化について調査を行いました。

D-2テープでの保存特性調査

(図1)は、D-2テープの飽和磁束密度Bmの各種環境下での放置劣化曲線を示します。この図から、60℃80%RHと高温多湿の環境下に3週間放置しても、Bmの劣化は10%に過ぎないことが判ります。なお、室温の標準状態(25℃60%RH)に保存した場合、Bmの実測劣化測定値は5年間で僅か5%。


実際に標準状態で保存した場合、Bmが10%劣化するには、20年間かかることが予測されます。次に、この10%のBm劣化が、実際のテープの電気特性に及ぼす影響を調査しました。図はそれぞれ、60℃80%RHの環境下に放置したD-2テープのRF出力(図2)、C/N(図3)、B.E.R=ブロックエラーレート(図4)の変化を示したものです。これらのデータによって、10%のBm劣化がテープの特性に与える影響はきわめて小さく、実用上問題のないレベルであることが判ります。以上から、マクセルのメタルテープは室温の標準状態に保存する限り、20年間経過しても酸化による劣化はごく僅かであることが裏付けられたことになります。

テープをよりよく保存するために


●長期間保管される時は、上図の温度・湿度範囲内で保存されることをお勧めします。また、時々テープは巻き直してください。

オペレーション時の 温湿度範囲保存時の 温湿度範囲テープ輸送時の 温湿度範囲
短期間保存 (10年以内)長期間保存 (10年以上)
温度 +17℃~+25℃ +15℃~+23℃ +15℃~+19℃ -20℃~+45℃
湿度 30%~70% 40%~55% 25%~35% 5%~80%
1時間あたりの温度変化 10℃以内/時間 - - 10℃以内/時間
1時間あたりの湿度変化 10%以内/時間 - - 10%以内/時間


テープを長期保存する場合、最も多く寄せられる質問が、「温度・湿度をどのように保てばよいのか」というものです。ここでは、SMPTE(アメリカ映画テレビ技術者協会)の見解をひとつの理想値としてご紹介します(図5)。マクセルでは、ここに示された温度・湿度内であれば、より良好な保存が可能と考えています。

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